事業等のリスク

 当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項、及び経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載しています。なお、当社グループは、管理部門責任者を設置し、専門的な観点からこれらのリスク発生の可能性を把握、認識したうえで、発生の回避及び万一発生した場合でも業績及び財務状況に与える影響を最小限にすべく、具体的施策を検討、実施しています。
 本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日2021年6月28日現在において判断したものです。

(1) 情報セキュリティ

 当社グループの基幹事業である国内教育事業では、幼児から高校生を対象とした「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」等の会員制の通信教育事業、学習塾・英語教室等の校外学習事業及び「進研模試」をはじめとする学校向け教育事業を展開しています。また、当社グループの介護・保育事業では、入居介護サービス、在宅・通所介護サービス及び保育園等の運営を主たる事業としています。当社グループでは、これらの商品・サービスの提供や営業活動を行うにあたって、顧客ごとのニーズに対応した商品・サービスを提供するため、顧客及び潜在顧客の氏名・性別・生年月日・住所・電話番号等の個人情報、その他業務上必要となる各種情報を保有しています。また、これらの事業を展開するにあたり、商品・サービス開発、マーケティング等に関する営業秘密を保有しています。
 当社グループは、これらの情報の管理や活用にあたり、機密性・完全性・可用性を考慮した情報セキュリティ環境の構築に力を入れ、サイバーアタック、標的型メール、ランサムウェア等の外部からの不正アクセスによる情報漏えいやサービス停止の防止、内部者による情報漏えい防止の徹底、パブリッククラウドを利用する場合のIT・セキュリティに関する当社グループにおける規程類の遵守について徹底を図る等、必要な措置を講じています。
 2014年に発覚した当社グループにおける個人情報の漏えい事故に対しては、徹底した事実調査・原因究明を実施し、全力で被害拡散防止に努めるとともに、漏えい防止対策を実施し、その後も改善を継続しています。
 しかしながら、デジタル技術の浸透や、情報セキュリティシステムへの攻撃の高度化かつ巧妙化により、当社グループの対策が十分に機能せず外部からの不正アクセスを防止できなかった場合や、従業員の故意又は過失等によって、新たな漏えい事故やサービス停止が発生した場合には、当社グループの信用やブランド価値が毀損され、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(2) 情報システム・ネットワークのトラブル

 当社グループでは、顧客及び潜在顧客の個人情報、その他業務上必要となる各種情報を情報システム上で管理しています。また、専用タブレット端末等のデジタルデバイスを利用した教育サービス、インターネットを利用した語学教育サービス、学校向けにICT教育支援サービス・クラウド型学習支援・校務支援サービス等を提供しています。
 これらの情報システム及びネットワークの管理にあたっては、当社グループが提供する商品・サービスに必要なインフラ整備を進めるとともに、管理監督体制の強化と規程類に基づく運用の徹底に継続的に取り組み、情報システム及びネットワークの安定稼働の確保やセキュリティ対策に力を入れ、適切なサーバの管理や情報のバックアップ等の必要な措置を講じています。
 しかしながら、当社グループで管理する情報又は開発・提供する商品・サービスの規模に対して、想定を著しく上回る通信やデータ処理により情報システム・ネットワークの能力が不足する場合や、ハードウェアやソフトウェアの欠陥や事故による障害、災害・事故発生による大規模なネットワーク障害等が発生した場合には、商品・サービスの継続的かつ安定的な提供が阻害されるのみならず、受注・債権管理等の事業基盤の停止等により、当社グループの業績及び事業運営に影響を与える可能性があります。

(3) 自然災害

 当社グループは、地震・風水害等の大災害発生に備え、グループ各社において事業継続計画の策定や被災状況の情報集約体制の構築、災害発生時の訓練等を行っています。すなわち、国内教育事業における情報システム・物流拠点の強化、介護・保育事業における入居介護サービスや保育園・学童運営事業における施設の設備対応、災害対応マニュアルの浸透徹底や定期訓練の実施、災害備蓄品の見直し等、語学教育事業や塾・予備校事業の教室における緊急時の体制構築と訓練等を行い、お客様及び従業員等の安全確保と事業継続ができる体制の構築に努めています。
 しかしながら、当社グループの主要な事業会社の本部機能が東京に集約され、かつ多くの入居介護施設が首都圏に集中して設置されていること、並びに通信教育事業及び模試事業等の主な製作・物流機能が岡山に集中していることから、首都直下型地震・南海トラフ地震等の大災害が発生した場合、被災地域における当社グループ施設等の損壊、交通、通信、物流といった社会インフラの混乱及び途絶、委託先の被災等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(4) 新型コロナウイルス感染症を含むパンデミック

 当社グループでは、国内教育事業における学習塾・英語教室等の校外学習事業及び留学関連事業、介護・保育事業、語学教育事業及びELS事業をグローバルに展開するベルリッツ事業、直島文化村における事業等、場を用いたサービス提供をしていることから、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大により、2020年度は国内外における営業活動の縮小、語学教育事業や塾・予備校事業の教室の閉鎖等を余儀なくされました。
 当社グループは、パンデミック(感染症・伝染病の大流行)状況下における事業継続を果たすため、必要な計画と体制を構築し感染対策の徹底を行っています。学習塾・予備校事業、教室事業においてはオンラインレッスンの導入を進め、介護・保育事業においても、新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインの制定と感染対策を徹底することによって、安心・安全な場の提供に努めています。また、当社事業所においては、働き方を見直し、リモートワークや時差出勤の促進等、事業継続のために必要な対策を行うことにより感染拡大防止策を講じています。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行による影響が現在の想定を超えた場合、場を用いたサービスでの営業自粛による売上減少、電子部材の不足や国内外における調達供給力の低下に起因する商品の製造遅延等、及びパンデミック対策に要する費用の増加等により、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を与える可能性があります。

(5) 人材確保

 当社グループが事業競争上の優位性を確保し、持続的な成長を実現するため、また、個々の顧客のニーズや状況に応じた商品・サービスを開発、運営するためには、AIやIoT等のデジタル技術といった事業計画の実行を支える高度な専門性を有する人材が不可欠であり、各事業のIT人材ニーズを把握したうえで、企画・開発・製造の領域ごとに、必要なスキルを可視化し、職種ごとの人材採用強化や育成プログラムを構築する等、人材確保と人材育成を推進しています。
 また、介護・保育事業の継続的な成長を実現するためには、サービス提供に必要な介護・保育スタッフの確保と定着を重要な問題ととらえています。特に介護事業では、介護スタッフ人材の職能や経験、スキルに応じた評価を反映した報酬制度の充実を図ることで、優れた人材が当社グループで活躍できる環境を整備し、人材の確保に努めています。
 しかしながら、人材採用競争の激化、労働市場の状況変化等により優秀な人材の確保に不十分な状況が生じる場合、社内人材の育成が奏功しない場合や雇用継続に支障をきたす場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(6) 調達・製作

 当社グループの通信教育事業における「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」の教材及びダイレクトメールの製作・物流業務については、教材のデジタル化推進やダイレクトメール以外のマーケティング手法の開拓により、調達、製作、物流等のコストの低減に努めています。また、「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」の教材のうち、教具・玩具については、主に中国から調達していますが、人件費や原材料費の高騰による調達コストの上昇や、カントリーリスクによる入庫遅延等の発生可能性を踏まえて、新たな調達先の選定を進めています。
 しかしながら、かかる施策が奏功する前に又は現在の想定を上回る規模で、用紙等の原材料費の高騰、物流コスト、為替相場の変動等による調達コストの増加等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(7) 商品安全、場の安全

 当社グループの基幹事業である国内教育事業では、「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」及び学習塾・子ども向け英語教室等の校外学習事業を展開しており、多種多様な商品・サービスを提供しています。また、当社グループの介護・保育事業では、高齢者や乳幼児、小学生に対するサービスも提供しています。これらの事業では、顧客に安心してサービスを利用していただくため、商品安全及び場の安全を確保すべく管理体制の構築及び向上に努めています。
 商品安全に関しては、国際的な商品安全基準を基に当社の安全基準を策定し、設計段階から商品の安全性・品質を評価・管理するとともに、顧客からの声を商品に反映し、より安全で利便性の高い商品開発に努めています。また、学習塾・予備校事業、教室事業や介護・保育事業においては、現場運営における事故防止ガイドライン、各種マニュアルの制定、及び事故対応に関する研修等を実施することによって、安心・安全な場の提供に努めています。
 しかしながら、商品やサービスの提供にあたり、商品・サービスの瑕疵に起因して、顧客の生命・身体や財産を害する事故等が発生した場合、当社グループの社会的信用が失墜し、事業の継続自体に影響を与える可能性があります。

(8) 海外事業関連

 当社グループでは、Berlitz Corporationが、2020年12月時点において約70の国と地域に350以上の教室を有する語学教育事業とELS事業を行っています。また、中国等東アジアにおいて「こどもちゃれんじ」事業を展開しており、2021年4月時点において中国で112万人、台湾で9万人の会員を有しています。
 海外事業は、各国・地域の法律・規則、外資規制及び税制の差異及び変更、政治情勢及び経済情勢の悪化、商慣習及び文化等の相違、労働問題、日本との関係の悪化等社会環境の変化、戦争やテロの発生等による影響を受ける可能性があるため、当社グループでは、東アジアを中心とした法制度の改正や行政の動向等に係る情報収集等を行い、状況に変化が発生した場合には対応を行うこととしています。しかしながら、これらの国・地域において上記事象が発生・顕在化することにより、海外事業展開や事業継続に支障をきたし、又はこれらに対する対応に想定以上の負担を余儀なくされることにより、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

(9) 子会社業績悪化の影響

 当社グループは、M&Aを積極的に活用した既存事業の成長と新たな事業領域の拡大を目指してまいりました。今後は、新領域の挑戦として当社グループの強みが生かせる領域での積極的な投資を中長期的な経営戦略の一つとしています。そのため、連結財務諸表におけるのれんを含む無形固定資産や当社財務諸表における関係会社株式は、今後も増加する可能性があります。
 しかしながら、当社及びグループ各社の収益性が著しく低下した場合には、連結財務諸表においては当社及びグループ各社の保有する土地・建物・のれん等についてその帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することが必要となります。また、当社財務諸表においては、当社の保有する関係会社株式についてその帳簿価額を時価又は実質価額まで減額し、当該減少額を関係会社株式評価損として計上することが必要となります。
 その中でも実際に発生した場合には、連結財務諸表及び当社財務諸表に与える影響が特に大きいと考えられるものは以下のとおりです。

①連結財務諸表に与える影響

 当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されているのれん(10,177百万円)及び無形固定資産のその他(2,942百万円)には、当社の連結子会社であるClassi㈱において、㈱EDUCOMの発行済株式を2019年1月8日付で65.2%、2021年2月26日付で34.8%を取得したことに伴い生じた、相対的に多額なのれん(5,061百万円)及び顧客関連資産(2,503百万円)がそれぞれ含まれています。
 政府が進める教育の情報化を背景とした学校現場におけるICT化の推進等により、現時点においては㈱EDUCOMの業績は順調に推移していますが、将来的に経営環境の悪化等により当該のれんや顧客関連資産について減損損失を計上する必要が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

②当社財務諸表に与える影響

 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大により、当社グループの事業環境は大きく変化しています。その中でもBerlitz Corporationにおけるベルリッツ事業では、語学教育事業においてほぼ全てのランゲージセンターを一時閉鎖し、現在も一部閉鎖を継続しています。また、ELS事業において米国の大学キャンパスの閉鎖に伴う営業活動縮小等による事業影響が大きいため、その対応が課題となっています。
 現在、ベルリッツ事業では、語学教育事業において、新学習プラットフォームである新しいオンラインコースのリリースやフランチャイズ化を含む構造改革の推進を行っています。また、ELS事業においても、拠点の最適化等の推進による更なる大胆な事業構造改革を行いました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大が長期化する等、現在の想定を超える事態となった場合に加え、新しいオンラインコースのリリース及び販売が想定通りに進捗しなかった場合等には、ベルリッツ事業は重大な影響を受ける可能性があります。
 当社は、当事業年度末の貸借対照表上、ベルリッツ事業に係る関係会社株式として21,548百万円、関係会社短期貸付金として8,081百万円、関係会社長期貸付金として4,428百万円を計上しており、上記のとおり、現在の想定通りに事業が進捗しなかった場合、関係会社株式に係る評価損の計上及び関係会社貸付金に係る貸倒引当金の計上が必要になることとなり、当社の業績及び財務状況に重大な影響を与える可能性があります。

(注)Berlitz Corporationについては、2022年2月14日付で当社の保有する全株式を、ILSC Holdings LPが保有する特別目的会社に譲渡しました。これにより、Berlitzは当社の連結の範囲から除外されました。

最終更新日:2022年04月01日