教育

幼児期から小学1年生の家庭教育調査

小学校入学前に身につけてほしい力は「あいさつ」「えんぴつを正しく」「あきらめずに挑戦する」
「子ども自身が考えるよううながす」保護者からの働きかけが、小学校学習の基盤を作る

公開日:2012年10月04日
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市、以下ベネッセ)の社内シンクタンク「ベネッセ次世代育成研究所」では、2012年1~2月に、3歳児から小学校1年生までの子どもをもつ母親5,016名を対象に、「幼児期の家庭教育調査」を実施しました。「幼児教育」は、家庭教育と幼稚園・保育園の双方で担われるものですが、今回の調査は「家庭教育」に着目したものです。

今回、小学校入学以降の学習生活に適応するために必要となる幼児期の学習準備として、以下の3つの項目を設定し、各年齢でこれらの項目が身についているのか否かを調査しました。また、保護者のどのような関わりが子どもの学習準備に影響を与えるのかを明らかにしました。

主な調査結果は以下の通りとなります。
  • 小学校入学までに、「あいさつ」「えんぴつを正しく持つ」「あきらめずに挑戦」ができていてほしい

    小1生の子を持つ母親が振り返ったとき、「子どもが小学校入学までに身につけてほしいもの」は、「生活習慣」面では「あいさつやお礼を言える」(36.4%)、「文字・数・思考」面では「えんぴつを正しく持てる」(44.6%)、「学びに向かう力」面では「物事をあきらめずに挑戦する」(31.1%)が、それぞれの最上位に挙がった。 ※「生活習慣、学びに向かう力」18項目より3つ、「文字・数・思考」11項目より3つを選択する形式。
  • 小学校入学までに、「文字・数・思考」の力は伸びていくが、「学びに向かう力」は必ずしも伸びない

    年少児~小1生の子を持つ母親に自分の子どもができることを尋ねたところ、「文字・数・思考」については、子どもの年齢が上がるにつれ「できる」という割合が増える傾向で、例えば、「かな文字を読める」「長さや高さの比較ができる」(文字・数・思考)は、年長では9割に達する。一方、「生活習慣」や、「学びに向かう力」については、必ずしもそのような傾向はなく、例えば、「片づけ」(生活習慣)、「あきらめずに挑戦する」(学びに向かう力)が「できる」のは、年長児でも6~7割に留まる。
  • 「生活習慣」が定着している子どもは、「文字・数・思考」「学びに向かう力」がより高い

    年長児において、「生活習慣」が身についている子と、身についていない子を比較した場合、「自分のことばで順序を立ててわかるように話せる」(文字・数・思考)の割合は、前者で92.3%、後者で75.0%と差が出る。同様に、「あきらめずに挑戦する」(学びに向かう力)ができる割合も、前者で83.5%、後者で53.3%と差が出る。

<幼児期の学習準備>

  1. 「生活習慣」= トイレ、食事、あいさつ、片づけなど生活していくために必要な習慣
  2. 「学びに向かう力」= 自分の気持ちを言う、相手の意見を聞く、物事に挑戦しようとする、等 自己主張・自己統制・協調性・好奇心に関係する力
  3. 「文字・数・思考」= 文字や数の読み書き、順序の理解など、幼児期から小学校段階での学習に関係する力

今回の調査からは、小学校での学習生活に必要となる「生活習慣」「学びに向かう力」「文字・数・思考」の3つの項目のうち、「生活習慣」「学びに向かう力」については、必ずしも年齢が上がるとともに身につくとは限らない、という傾向がわかりました。

このうち、「生活習慣」は、ほかの2つの分野「学びに向かう力」「文字・数・思考」との相関関係が見られます。生活習慣は、小学校での学習生活に必要な力をつける、すべての基盤になると考えられるので、まず親は子どもが生活習慣をきちんと身につけるよう働きかけることが必要と考えます。

また、「文字・数・思考」「学びに向かう力」については、親が「子ども自身が考えられるよううながす」ことで、「できる」割合が増えることがわかりました。親は子どもに、すぐに手をさしのべ、答えを教えてしまうのではなく、子どもが自分の力で考えられるような接し方をすることで、子どもの力を育んでいくことが重要と考えます。

「子ども自身が考えられるよううながす」ことは、「親が子どもの言葉を聞いて応答する=子どもを認める」ことから始まります。仕事を持つ母親は、子どもとの接触時間は限られますが、子どもの「今日あった出来事を聞く」ことなど、コミュニケーションをとる姿勢が大切といえます。

最終更新日:2020年03月09日