教育

「第4回 子育て生活基本調査」

4割以上の母親が「子どもが大人になって一人立ちできるか不安」
しつけや教育は家庭の役割と考える母親が増え、子どもへの関与が強まっている

公開日:2012年03月06日
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市)のシンクタンク「Benesse教育研究開発センター」は2011年9月、首都圏の小・中学生の子どもを持つ母親(7,519名)に、しつけや教育に関する意識・実態調査「第4回子育て生活基本調査」を行いました。

同調査は、1998年・2002年・2007年にも実施されており、13年間の変化が分析可能なデータとなります。

今回調査では、世界的な経済危機や東日本大震災などにより、日本社会・経済の先行きに不透明感が広がるなか、小・中学生の母親自身の教育に対する意識や子どもへのかかわりが、どのように変化しているかを明らかにしています。

母親は、不透明感が広がる日本社会・経済の変化を感じ取り、意識の面では、子どもが将来困らないよう、学力重視の傾向が強まり、行動面では、直接的な学習へのかかわりを増しています。出費は抑えながらも、これまで以上に学校外での習い事や塾などの活動を活発化させています。背景には、近年の学校の取り組みに対しては評価をしつつも、しつけや教育の役割を学校や教師に任せきりにするのではなく、家庭に引き取るという母親の意識の変化もありそうです。

今回の結果からは、時間、お金など家庭における資源は限られていても、子どもの将来の可能性を尐しでも広げるために幅広い力を身につけさせたいという母親の思いがみえてきました。全体的に、学校、家庭がそれぞれ子どもの学びや育ちを支えるよい傾向がみてとれます。今後は、とくに不安を感じる親の孤立化を防ぎ、子どもに対して「かまい過ぎ」ではない適切なかかわりを行えるような働きかけが必要となります。そのためには、学校、家庭の重要なパートナーである「地域」の動きを活性化させ、三者が分断することなく、連携を強めていくことが求められると考えます。
  1. 4割以上の母親が「子どもが大人になって一人立ちできるか不安」と感じている

    調査対象のうち、生活には経済的に「ゆとりがない」(「あまりゆとりがない」含む)と答えている母親は約半数(50.7%)にのぼり、今後の家庭の暮らし向きについては、約3割の母親が「悪くなりそう」(「どちらかといえば悪くなりそう」含む)と回答している。さらに、「子どもが大人になって一人立ちできるか不安」(とてもあてはまる+まああてはまる)と感じる母親は小学生41.7%、中学生46.2%と4割以上になった。
  2. 母親たちの学力重視の傾向は強まっている

  3. 塾や習い事に通う子どもが増加しているが、教育費自体は横ばい

    小学生も中学生も塾や習い事を行う子どもが増えている。小学生はとくにスポーツ系の習い事が増加(07年47.5%→11年54.0%)している。中学生では学習系の習い事ののびが大きい(07年52.6%→11年59.4%)。一方で、教育費自体は横ばいになっている。
  4. しつけや教育を家庭の役割と考える母親が増えている

    「家庭と学校の役割分担」について、「授業中騒いだり、立ち歩いたりしないこと」(98年25.7%→11年52.0%)、「友だちとのつきあい方」(98年61.5%→11年71.7%)、「家での学習習慣」(98年85.8%→11年89.4%)などを、家庭が教育することだ(「どちらかというと家庭が教育する」)と考える母親が増えている。その一方、2000年代以降、学校に対する満足度は一貫して向上している(かなり満足している+まあ満足している 07年74.0%→11年79.1%)。とくに「教科の基礎的な学力をつけること」(02年63.7%→07年66.4%→11年72.6%)など、学習指導への満足度は大幅に向上している
※調査の詳細はこちらよりご覧ください。
http://benesse.jp/berd/center/open/report/kosodate/2011/dai/index.html

最終更新日:2020年03月09日