教育

「妊娠出産子育て基本調査・フォローアップ調査」 報告

妊娠・出産期から同一の妻・夫に対して、4年間に渡る経年調査を実施
妻・夫とも、「妊娠・出産・0歳児期」の子どもに関わる意識と行動が、それ以後の「子育ての自信」に影響を及ぼす

公開日:2011年12月05日
株式会社ベネッセコーポレーションの社内シンクタンク「ベネッセ次世代育成研究所」では、初めて子どもを持つ夫婦が、妊娠・出産・子育て時期をどのように乗り越えていくのかを調査するため、2006年11月に「第1回 妊娠出産子育て基本調査」を開始しました。まず「妊娠後期の妻・夫」に調査を行い、その後、毎年、同じ対象への調査を継続し、生活や意識がどのように変化したのかを分析して来ました。今回ご報告する内容は、「子が2歳時期となった妻・夫(288組)」への4回目調査を終えての1回目~4回目の総合的な分析になります。
調査では、妊娠・出産時の意識・経験が、その後の妻・夫の子育て意識・行動や、夫婦間の愛情にどのような影響をもたらすか、また、妻・夫それぞれの出産・子育てに関する相談先、夫の労働時間と子どもとの接触等について、明らかにしています。

主な調査結果は、以下の通りです。
1.リラックスできた出産経験がある妻は、0~1歳児期に子育てに自信を持てる割合が高くなる。

2.妻の妊娠期に、育児書を読むなど子育て情報を集めた夫は、子どもが0歳児期に一緒に遊ぶ割合が高い。また、0歳児期に育児をする夫は1~2歳児期も続け、子育ての自信も高い傾向がある。

3.妊娠期~2歳児期にかけて、妻の夫に対する「一緒にいると本当に愛していると実感する」「私の仕事、家事、子育てをよくねぎらってくれる」評価は全般的に減少し、減り幅がもっとも大きいのは妊娠期~0歳児期である。一方、夫の妻に対する同様の評価では、減少幅は相対的に小さい。

4.妻は妊娠・出産、子育てに関する相談先として、身近な人や専門家など多くの相談先持ち、1年ごとにその相手が変化する。一方、夫は妻以外の子育てに関する相談先が少ない。

5.0~2歳児期を通して、夫の1日の実働時間が11時間以上を越える割合は3割を超える。1日の平均実働時間が増えるほど、子育てへのかかわりが減少し、子育ての自信が低い傾向が見られる。
妻と夫それぞれに、妊娠・出産・初期の子育て時期の意識・行動の違いが、その後の子育て意識・行動の違いとなって現れてくることがわかりました。妻が妊娠・出産時期をリラックスして過ごせる環境をいかに作るか、また、夫に視点を当てると、主体的に育児準備できる環境を作ることや子どもが0歳の段階でいかに子育てに関わるかが重要になります。
一方、妊娠期から2歳児期にかけて、妻の夫への愛情の減少幅が、夫の妻への愛情の減少幅を大きく上回ることは、特記すべきことでした。また、妻は子どもの成長に応じて子育ての相談先が広がりますが、夫は仕事で多忙な中、主な相談相手は妻のみであるということも課題の一つといえます。
今回の調査から、はじめての子どもを持つ親が親としてスムーズに発達し、子どもにとって良質な環境が育まれるには、家族が新たな段階を築き始める妊娠・出産・0歳期が大切なことがわかりました。地域や企業など家族を取り巻く社会において、子育てのしやすい働き方・環境を整えていくことが、求められていると考えます。


詳細データはこちらをご覧ください。
Benesse次世代育成研究所

最終更新日:2020年03月09日