取締役会の実効性をさらに高め、グループの成長を支えていきます

社外取締役/取締役会議長井原 勝美

プロフィール

プロフィール

1973年三井情報開発(株)入社。
1981年ソニー(株)入社後、同社グループCSO・CFO、代表執行役副社長、ソニーフィナンシャルホールディングス(株)代表取締役社長、取締役会長を歴任。
2018年から(株)日立製作所社外取締役。
2019年から当社取締役に就任。

取締役会メンバーの多様な経験・知見を活かし中期経営計画の実現をより確実なものに

私は、ソニーグループにおいてさまざまな事業のリーダーを務め、海外企業とのJV、M&A、M&A後のPMIなどの広範な経験を積んできました。また上場企業の社長・会長を務める機会も得ました。私に限らず、現在の社外取締役は非常に多彩な経験を持っています。社外取締役の役割は、社内論理にとどまらぬよう、広範囲の視点から執行側に対してアドバイスを提供し、事業計画や中期経営計画の実現をより確実なものにすること、スピードを上げることです。私は取締役会議長として、取締役会メンバーそれぞれの経験と知見を引き出すことが重要と考えています。

当社には取締役会に加えて、諮られる議案のバックグラウンドを事前に理解するための「事前説明会」、ビジネスの重要テーマについて議論する「役員研究会」があります。これらの会議体も活かし、議論を深めています。2020年度はコロナ禍の影響から取締役会がリモート開催となり、各事業の現場視察なども実施が難しい状況でしたが、このようななかでも、中期経営計画、経営体制の変更など、重要な課題に取り組んだ1年でした。

中期経営計画については役員合宿を3度にわたり実施し、集中的な議論を行いました。2021年度は、中期経営計画のモニタリングを行うのはもちろんのこと、議論の過程で出てきた重要な論点、例えば事業ポートフォリオの適正化や資本効率の向上施策、ブランディングのあり方といったテーマについて、さらに議論を進めていく計画です。

取締役会としての課題を明らかにしさらなる実効性向上を

2020年度の取締役会の実効性評価アンケート結果については、全体として高評価ではあったものの、評価のばらついている項目もありました。そこで、専門外部機関による取締役会メンバー全員へのヒアリングを実施し、さらにヒアリング結果に基づいた議論を、時間をかけて行いました。

一連の実効性評価で、課題として明らかになったのは、代表取締役の評価・報酬のあり方、後継者育成についての議論、ESG・サステナビリティへの取り組みに関する議論、ダイバーシティ&インクルージョンに関する議論、株主・投資家との対話の拡充と経営へのフィードバック、などの点です。また、議論を深めるために取締役会メンバー間のコミュニケーションの機会を拡充する工夫が必要であることがわかりました。これらのテーマについては、今後、取締役会や指名・報酬委員会において重点的に取り組んでいきます。

次世代の経営人財の育成人財パイプラインの見える化を

2021年度はベネッセグループの中期経営計画初年度です。経営体制については、事業環境の変化によりスピーディに対応し、業績のV字回復を果たすため、事業現場を直接指揮してきた社長の小林さんにより広い権限を持ってもらい、会長の安達さんにはグループの中長期的な経営方針を担っていただくのが良いと判断し、変更を決議しました。

私は指名・報酬委員会の委員長も務めており、2021年度から、次世代の経営者を育成するためのサクセッションプランについて検討を進める計画です。また、経営層に至るまでの人財パイプラインについて可視化することも大きなテーマです。

ベネッセは企業理念に忠実な、極めて優れた企業文化を持っています。この企業文化を活かし、新規領域の拡大も含めた成長を果たしていくために、今後も取締役会、指名・報酬委員会の実効性をいっそう高めていきたいと考えています。


強い事業基盤の上でサステナブルな社会の実現に貢献するその歩みを確かなものにするために

社外取締役岩井 睦雄

プロフィール

プロフィール

1983年日本専売公社入社。日本たばこ産業(株)取締役常務執行役員、JT International S.A.副社長、日本たばこ産業(株)代表取締役副社長を歴任。
2020年日本たばこ産業(株)取締役副会長、当社取締役に就任。

取締役会は民主的な対話の場として有効に機能

経営や人財マネジメントにおいて私が大切にしてきたことの一つが「対話」です。組織には基本的な指揮命令系統が必要ですが、すべてが上位下達ではトップの能力以上のものは生み出せないでしょう。民主的な対話が行われてこそ、高い価値が創出できると私は考えます。そして、こうした視点から見た時、当社の取締役会はまさに「対話」の場になっていると思います。

中期経営計画の策定においても、さまざまな論点について全員で議論しながら決めていこうという基本姿勢、検討プロセスがありました。私がとくに問題提起したのは、今後のグローバル戦略や、そのためのケイパビリティのあり方、コーポレートブランドと商品・サービスブランドの位置付けなどです。

また、ESGの面では、事業を支える重要な要素である「人財」に注目しています。教育研修プログラムの充実はもとより、日常業務のなかで一人ひとりが「なりたい自分」を目指してスキルアップに励むラーニングカルチャーが醸成されていることも当社グループの強みであり、これを活かして人財力をさらに強化していただきたいと思っています。

感性の要素を取り入れることで可能性は広がる

社外の人間として一つアドバイスするとすれば、時には視野を広げ、大きな変化を俯瞰することも大切だということです。一見、自分とは関係のなさそうな物事にも好奇心を持って「なぜだろう?」と考えてみる。新しいことを積極的に経験して、学んだことや身に付けてきたことをいったん“アンラーニング”してみる。それによって見えなかった解が見つかることもあります。

その意味で、当社グループに大きな可能性を感じるのはアートに関わる活動を積極的に展開しているところです。企業経営においても数値やデータをもとに理詰めで考えるだけでなく、アートで求められるような感性の要素を取り入れることで、より高い創造性を発揮できるのではないかと私は考えています。

「強さ」と「優しさ」を両立させ持続的成長を

私は約1年前に当社の社外取締役に就任しましたが、この1年間、さまざまな案件に関する説明や報告などを通して、社員の皆さんが「よく生きる」という企業理念の実践に、本当に真摯に取り組んでいることがわかりました。この会社では、企業理念はお題目などではなく、一人ひとりの日々の仕事にしっかりと落とし込まれているのだ、と感じます。

サステナビリティに対する世界的な意識の高まりなどを背景に、この間続いてきた株主至上主義的な考え方が見直され、企業の存在意義や創出価値が多様な観点から見直される時代になってきました。これはある意味で、「よく生きる」という理念を実践してきた当社グループの歩みに、時代が追い付いてきたと言えるかもしれません。

「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」というのは、私の好きなフィリップ・マーロウの台詞ですが、当社グループの経営にも通じるものがある気がします。圧倒的なシェアと稼ぐ力があるから、厳しい競争を勝ち抜いていける。その根本には、個々の顧客の成長や安心に優しく寄りそう気持ちがある。この「強さ」と「優しさ」を両立させた経営による、サステナブルな成長への挑戦を、社外取締役として今後も支援していこうと思います。

最終更新日:2021年9月30日