事業等のリスク

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項、並びに経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載しています。なお、当社グループは、管理部門責任者を設置し、専門的な観点からこれらのリスク発生の可能性を把握、認識したうえで、発生の回避及び万一発生した場合でも業績及び財務状況に与える影響を最小限にすべく、具体的施策を検討、実施しています。

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日である2023年6月26日現在において判断したものです。

(1) 情報セキュリティ

当社グループの国内教育事業では、小学生から高校生を対象とした「進研ゼミ」等の会員制の通信教育事業、学習塾・予備校・教室等の塾・教室事業、「進研模試」をはじめとする学校向け教育事業、及び留学支援や社会人のオンライン教育をはじめとする大学・社会人向け事業を、Kids & Family事業では、日本、中国、台湾での幼児向けを中心とした通信教育事業(「こどもちゃれんじ」)、雑誌の出版、通信販売事業等を行っています。

また、介護・保育事業では、入居介護サービス事業、在宅介護サービス事業、保育園・学童運営事業を主たる事業としています。

当社グループでは、これらの商品・サービスの提供や営業活動を行うにあたって、顧客ごとのニーズに対応した商品・サービスを提供するため、顧客及び潜在顧客の氏名・性別・生年月日・住所・電話番号等の個人情報、その他業務上必要となる各種情報を保有しています。また、これらの事業を展開するにあたり、商品・サービス開発、マーケティング等に関する営業秘密を保有しています。

当社グループは、これらの情報の管理や活用にあたり、機密性・完全性・可用性を考慮した情報セキュリティ環境の構築に力を入れ、標的型メール、ランサムウェア、不正アクセス等の外部からのサイバー攻撃による情報漏えいやサービス停止の防止、内部者による不適切利用・情報漏えい防止の徹底、パブリッククラウドを利用する場合のサービス選定・運用等に関するルールの遵守の徹底、テレワークの増加に対するセキュリティ環境の構築、認証・監視の強化等、必要な措置を講じています。また、2014年に発生した当社グループにおける顧客個人情報の漏えい事故を踏まえ、事故の再発防止策を徹底して講じ、その後も対策の強化に努めています。

しかしながら、デジタル技術の浸透や発展、情報セキュリティシステムへの攻撃の高度化かつ巧妙化により、当社グループの対策が十分に機能せず外部からのサイバー攻撃を防止できなかった場合や、従業員又は業務委託先の故意又は過失等によって、新たな漏えい事故やサービス停止が発生した場合には、当社グループの信用やブランド価値が毀損され、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(2) 情報システム・ネットワークのトラブル

当社グループでは、顧客及び潜在顧客の個人情報、その他業務上必要となる各種情報を情報システム上で管理しています。また、インターネットを利用した教育サービス、学校向けのICT教育支援サービス・クラウド型学習支援・校務支援サービス等を提供しています。

これらの情報システム及びネットワークの管理にあたっては、当社グループが提供する商品・サービスに必要なインフラ整備を進めるとともに、管理監督体制の強化と規程類に基づく運用の徹底に継続的に取り組み、情報システム及びネットワークの安定稼働の確保に力を入れ、適切なサーバの管理や情報のバックアップ、事業のDX化に伴うシステム開発力の向上、重要な案件の新規開発に当たっての事前審査及びモニタリング強化等開発リスク低減のための必要な措置を講じています。

しかしながら、当社グループで管理する情報又は開発・提供する商品・サービスに対して、当社グループが採用するパブリッククラウドにおける障害、ハードウェアやソフトウェアの欠陥や事故による障害、災害・事故発生による大規模なネットワーク障害等が発生した場合には、商品・サービスの継続的かつ安定的な提供が阻害されるのみならず、受注・債権管理等の事業基盤の停止等により、当社グループの業績及び事業運営に影響を与える可能性があります。

(3) 人材確保

当社グループが、今後も個々の顧客のニーズや状況に応じた商品・サービスを開発、運営するためには、AIやIoT等の技術といった、事業計画の実行を支える高度な専門性を有する人材が不可欠であり、各事業のDX人材ニーズを把握したうえで、企画・開発・製造の領域ごとに、必要なスキルを可視化し、職種ごとの人材採用強化や育成プログラムを導入する等、人材確保と人材育成を推進しています。

また、介護・保育事業の継続的な成長の実現、及び安定したサービス提供のためには、介護・保育スタッフの充分な確保と定着が重要な問題であると考えています。特に介護事業では、介護スタッフの専門性を高める施策、人材の職能や経験、スキルに応じた評価を反映した処遇制度の充実を図ることで、優れた人材が当社グループで活躍できる環境を整備し、人材の確保に努めています。

しかしながら、人材採用競争の激化、労働市場の状況変化等により優秀な人材の確保に不十分な状況が生じる場合、社内人材の育成が奏功しない場合や雇用継続に支障をきたす場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(4) 自然災害

当社グループは、地震・風水害等の大災害発生に備え、グループ共通のBCP基本計画書を策定しております。これに基づき、当社及びグループ各社において、安否確認システムの導入、各種訓練の実施、施設の設備対応、災害備蓄品の保管、主要事業における業務継続計画書の策定等を行い、お客さま及び従業員等の安全確保と事業継続ができる体制の構築に努めています。

しかしながら、当社グループの主要な事業会社の本部機能が東京に集約され、かつ多くの入居介護施設が首都圏に集中して設置されていること、並びに通信教育事業及び模試事業等の主な製作・物流機能が岡山に集中していることから、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大災害が発生した場合、被災地域における当社グループ施設等の損壊、停電、及び交通、通信、物流といった社会インフラの混乱及び途絶、取引先の被災等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(5) パンデミック

当社グループでは、国内教育事業における塾・教室事業及び留学支援事業、Kids & Family事業における中国事業、介護・保育事業、直島における事業等、場を用いたサービス提供をしています。新型コロナウイルス感染症については第5類に移行いたしましたが、変異ウイルスや新型インフルエンザ等による新たなパンデミック(感染症・伝染病の大流行)発生時に備え、新型コロナウイルス感染症の対応経験も踏まえた感染対策と発生の場合の事業継続に関する準備を行っています。例えば、介護・保育事業における感染症対策のガイドライン・マニュアル改定とその実行、塾・教室事業におけるオンラインレッスン実施のための環境整備等を行い、事業所においては、在宅勤務と出社を組み合わせたハイブリッド勤務を継続しています。また、自然災害に備えたBCPを踏まえ、パンデミックBCPの策定を検討しています。

しかしながら、新たなパンデミックが発生し、その影響が現在の想定を超えた場合、場を用いたサービスでの営業自粛による売上減少及びパンデミック対策に要する費用の増加等により、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を与える可能性があります。

(6) 調達・製作

当社グループの通信教育事業の教材及びダイレクトメールの製作・物流業務については、教材のデジタル化推進やダイレクトメール以外のマーケティング手法の開拓により、調達、製作、物流等のコストの低減に努めています。これに伴う既存取引先への影響についても丁寧なコミュニケーションを重ねています。また、通信教育事業の教材のうち、教具・玩具については、主に中国から調達していますが、人件費や原材料費の高騰等による調達コストの上昇や、カントリーリスクによる入庫遅延等の発生可能性を踏まえて、新たな調達先の選定を進めています。

しかしながら、かかる施策が奏功する前に現在の想定を上回る規模で、用紙等の原材料費の高騰、物流コストや為替相場の変動等による調達コストの増加、カントリーリスクの顕在化等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(7) 海外事業関連

当社グループでは、東アジア・東南アジア・南アジアでの事業を進めています。中国等において「こどもちゃれんじ」事業等を展開し、「こどもちゃれんじ」事業は2023年4月時点において中国で79万人、台湾で9万人の会員を有しています。

海外事業は、各国・地域の法律・規則類、外資規制及び税制の差異及び変更、政治情勢及び経済情勢の悪化、商慣習及び文化等の相違、労働問題、日本との関係の悪化等の社会環境の変化、戦争やテロの発生等により影響を受ける可能性があるため、当社グループでは、中国等東アジアを中心に法制度の改正や行政の動向等に係る情報収集等に加え、リスクの顕在化に備え、速やかに対応ができるよう準備を進めています。

また、依存度の高い現地事業パートナー等の、経営状況の悪化等による当社グループへの影響をできる限り低減するため、継続的なモニタリング等、情報収集に努めています。

しかしながら、これらの国・地域において予想を超える事態が発生することにより、海外事業展開や事業継続に支障をきたし、又はこれらに対する対応に想定以上の負担を余儀なくされることにより、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。また、想定を上回る規模で、現地事業パートナー等の経営悪化等が発生した場合には、事業に支障が生じる可能性があります。

(8) 商品安全、場の安全

当社グループの国内教育事業、及びKids & Family事業では、通信教育における教具・玩具の提供、塾・教室、コンサート等のイベントの開催、通信販売等、多種多様な商品・サービスを提供しています。また、介護・保育事業では、高齢者や乳幼児、小学生に対するサービスも提供しています。これらの事業では、顧客に安心して商品・サービスを利用していただくため、商品安全及び場の安全を確保すべく管理体制の構築及び向上に努めています。

商品安全に関しては、国際的な商品安全基準を基に当社の安全基準を策定し、設計段階から商品の安全性を評価・管理するとともに、顧客からの声を反映し、より安全性の高い商品開発に努めています。また、塾・教室事業や介護・保育事業においては、現場運営における事故防止ガイドライン、各種マニュアルの制定、及び事故対応に関する研修等を実施することによって、安心・安全な場の提供に努めています。

しかしながら、商品やサービスの提供にあたり、商品・サービスの瑕疵に起因して、顧客の生命・身体や財産を害する事故等が発生した場合、当社グループの社会的信用が失墜し、事業の継続自体に影響を与える可能性があります。

(9) 子会社業績の悪化の影響

当社グループは、成長領域と位置付けた分野を中心に、積極的に投資を実施したいと考えております。そのため、連結財務諸表におけるのれんを含む無形固定資産や当社財務諸表における関係会社株式は、今後も増加する可能性があります。

しかしながら、当社及び当社グループの収益性が著しく低下した場合には、連結財務諸表においては当社及び当社グループの保有する土地・建物・のれん等についてその帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することが必要となります。また、当社財務諸表においては、当社の保有する関係会社株式についてその帳簿価額を時価又は実質価額まで減額し、当該減少額を関係会社株式評価損として計上することが必要となります。

その結果、当社及び当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

なお、連結子会社 株式会社ハートメディカルケアを取得したことに伴うのれん(当連結会計年度末残高2,150百万円)について、当期において減損損失を計上していないものの、減損の兆候を識別しておりますが、これにかかる会計上の見積りの前提条件等については、第69期有価証券報告書「第一部第5 経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

また、当社が保有する株式会社ハートメディカルケアの株式(当事業年度末残高4,294百万円)の評価にかかる会計上の見積りの前提条件等については、第69期有価証券報告書「第一部第5 経理の状況2財務諸表等(1)財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

最終更新日:2023年06月26日