教育

2010年 首都圏“待機児童”レポート

「認可保育園」への入園ができたのは昨年同様希望者の半数以下
いっぽう「認可外保育施設」を利用する割合が増加しどこにも預け先が見つからなかった割合自体は減少

公開日:2010年09月15日
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市)の社内シンクタンク「ベネッセ次世代育成研究所」は、2010年4月時点で認可保育園に入園申請をした首都圏の母親836名を対象に、入園申請・結果・利用の実態、子育て支援ニーズなどに関する調査(「首都圏“待機児童”レポート」)を、2010年7月に実施しました。本調査は、2009年にも実施しており、今年で2回目となります。主な調査結果は以下の通りです。

1)2010年4月に認可保育園に入園できた家庭は、昨年同様、申請した家庭の50%を下回っている。 (2009年:47.2% →2010年:47.2%)

2)4月の時点で子どもの預け先が決まらなかった割合は減少した。
(2009年:39.9%→2010年:32.5%)

3)自治体の助成を受けている認可外保育所」への入園割合(2009年:6.9%→2010年:12.0%)、「その他の認可外保育施設」への入園割合(2009年:2.4%→4.4%)がそれぞれ倍増し、認可保育園への入園がかなわなかった家庭の受け皿になっている状況が明らかになった。

※自治体の助成を受けている認可外保育所(例:東京都認証保育所、横浜保育室、小規模保育室など)」。地方公共団体の単独の保育施策による保育施設

4)4月時点で子どもの預け先が決まらなかった母親(32.5%)のうち、昨年と同じく約半数が「仕事、または再就職を断念した」と回答。(2009年:56.1%→2010年:51.8%)

5)4月に向けて認可保育園への入園申請をした母親のうち、3月以前にすでに子どもを認可外保育施設・サービスに預けていた母親が大幅に増加。(2009年:22.0%→2010 年:37.5%)
年度途中に就労する際、空きが出にくい認可保育園ではなく、認可外保育施設・サービスをいったん利用し、改めて認可保育園へ入園申請をする、といったケースが増えていると考えられる。
全国の認可保育園の定員数はこの1年間で増えているものの、首都圏において認可保育園への入園は依然として厳しい状況にあることがわかりました。一方、昨年調査に比べると、認可外保育施設への入園割合が増え、どこにも預け先が決まらなかった割合自体は減りました。しかし、子どもの預け先が決まらなかった人の約半数は、結果として、仕事または再就職をあきらめた、と回答しています。自分の子どもが保育園に入れるだろうかという不安は多くの母親が感じ、危機感を持って、活動をしています。以上の結果から、待機児童の解消が、引き続き早急に解決すべき課題であることが、改めて浮き彫りになりました。

調査概要

  • 調査テーマ:

    首都圏の保育サービスの利用実態や保育園の入園に向けての活動、母親の意識について
  • 調査対象:

    2010年4月入園に向け、認可保育園に入園申請をした母親
    ※第1回調査は2009年実施、今回第2回目調査
  • 有効回答数:

    836名
  • 調査時期:

    2010年7月3日~7日
  • 調査地域:

    東京・神奈川・埼玉・千葉
  • 調査方法:

    インターネット調査
  • 調査項目:

    保育園入園申請・利用実態、入園申請に向けての行動や意識、保育料や補助の実態、働き方の希望、子育て支援へのニーズ、「子ども手当」の使い道、第2子出産意向(2010年のみ)
    ※本調査結果をまとめたレポートは、以下よりダウンロードできます。

2010年 首都圏“待機児童”レポート

http://www.benesse.co.jp/jisedaiken/research/research_15.html

※また、2009年の調査結果は、下記WEBサイトにてご確認いただけます。
http://www.benesse.co.jp/jisedaiken/research/research_08.html

ベネッセ次世代育成研究所について

http://www.benesse.co.jp/jisedaiken/
日本では少子高齢化、核家族化、女性の社会進出等、社会環境の変化が加速し、家族のあり方や親子関係を含めた子どもの成育環境に大きな変化が起こっています。このような中、ベネッセ次世代育成研究所は、個人や家族の生活視点を大切にしながら、子どもや家族が「よく生きる」ための調査研究を行っています。

最終更新日:2020年03月09日