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第三者との対話

ベネッセらしく、CSRを推進していくために

ベネッセは今後、企業の社会的責任(CSR)についてどのように考え、取り組む必要があるのか。CSRとSRIに詳しい(株)インテグレックス代表取締役社長 秋山をね氏をお迎えして対談を行い、レポートへの評価をいただくとともに、CSR活動やベネッセの事業についてCSRの専門的な視点でご意見をいただきました。

本文中は、敬称を略させていただいています。

左:株式会社ベネッセホールディングス 代表取締役副社長 コーポレートコミュニケーション本部長 福原 賢一
右:株式会社インテグレックス 代表取締役社長 秋山 をね様

秋山 をね様プロフィール
慶應義塾大学経済学部卒業。現在、内閣府評価専門調査会委員、(財)民間都市開発推進機構 住民参加型まちづくりファンド選定委員会委員、東洋経済サステナビリティ報告書賞審査員、日本内部統制大賞審議委員、社会的責任投資フォーラム理事などを務める。

首尾一貫した理念こそベネッセの強み

秋山をね(以下、秋山)

レポートを拝読し感じたことは、企業理念である「Benesse=よく生きる」が4つの事業領域の中で具現化され、脈々と浸透しているということです。CSR活動の5つの柱についても、企業理念の具体的な活動への落とし込みとして掲げられている印象を受けました。ベネッセは、CSR活動の5つの柱やミッション、お客さまに伝えたいメッセージ、すべてが首尾一貫していることがすばらしいですね。「Benesse=よく生きる」の強さを改めて感じました。

福原賢一(以下、福原)

理念の深さや強さはすごいですね。2009年6月に、グループ会社役員も含めた経営陣で合宿が行われたのですが、テーマは「理念」について。ベネッセらしさを今後どのように展開していくか、とことん語り尽くしました。こうして理念を受け止めて、経営の立場、事業運営に携わる立場それぞれが深く掘り下げていくプロセスがあるからこそ、首尾一貫しているのだと思います。

秋山

経営の立場で理念を深く掘り下げていくというお話には、納得できます。私は、内部統制やコンプライアンスに積極的に取り組む企業を表彰する「日本内部統制大賞 ―Integrity Award―」の審議委員をしていますが、ベネッセは経営のしくみをしっかりと機能させていると感じます。理念や志が共有されているからこそ、しくみは機能するんですよね。2008年度はこの賞の優秀賞に御社が選ばれましたが、2007年に3名の代表取締役体制になってからの具体的な取り組みが評価点として挙げられました。新しい内部通報の窓口をつくられたりされていますよね。

福原

ありがとうございます。2009年10月の持株会社体制移行後も、恥じない経営を続けていきたいと思います。

CSR推進のための4つの実践

秋山

私たちは、理念を事業活動の中で実践していくことがCSRのベースにあり、実践にあたっては4つの段階があると考えています。第1段階は、「事業活動そのものが社会に貢献するもの」であるということ。ベネッセは、事業活動そのものが社会の課題解決を支援するものですので、まさに当てはまります。第2段階は、「事業活動のプロセス自体が理念に沿ったもの」であるということです。事業活動の中で従業員が理念を実践し、各自の仕事の領域でご入居者の「よく生きる」を支援している介護事業などは、この第2段階になると思います。

福原

介護事業については、労働環境や就業条件が整っていない業界全体を変えていきたいという思いで人事制度の改革などを行った結果、従業員の「よく生きる」、理念の実践につながりました。

秋山

そういった思いもあったのですね。第3段階は事業活動の枠を越えてになりますが、「事業活動以外の成果も、具体的に地域や社会に展開していく」ということです。ベネッセのユニークなCSR活動は、まさに第3段階に該当すると思います。事業活動が経済的に財団活動を支援し、財団活動が事業活動に良いフィードバックを与えている、そんなリンクができているのではないでしょうか。

福原

直島など財団活動の運営資金は、財団が保有するベネッセの株式の配当収入によって賄われています。事業活動が継続してこそ財団活動も継続するという意味でリンクしますね。財団活動から事業活動へのフィードバックという点においては、事業活動を担う従業員が、財団活動をうまく活用して地域や社会と積極的にかかわってもらいたいと思っています。そうすることで、個人の「よく生きる」にもつながりますし、事業活動への良い刺激にもなるかと。今後の課題ですね。

秋山

課題として挙げられた点が、まさに第4段階の「事業に携わる従業員のCSRマインドや社会貢献マインドが向上し、個人レベルでも大きなムーブメントをつくっていく」ことになります。ベネッセの場合、従業員の財団活動への積極的な参加はもちろん、仕事を通じて得た社会からの気付きを会社全体で共有するしくみをつくることで、実践できるのではないでしょうか。自分たちの思いが社会の中でどのように捉えられているのか、そして社会の中で何が求められているのか、意識を向けることは大切です。

事業の蓄積を環境活動、そして世界へ

福原

社会から求められていることの一つに環境への取り組みがありますが、ベネッセでは2008年3月に「環境方針」を改訂し、事業の特性を活かした環境活動(環境教育)に重点的に取り組むことを宣言しました。その一環として、通信教育講座「こどもちゃれんじ」で培ってきたノウハウを活かし、幼稚園対象の「かんきょう紙芝居」活動を展開しました。

秋山

現在、環境への取り組みはすべての企業が果たすべき責任になっていると思いますが、一番重要なことは、その企業の強みをどう活かせるかということです。教育事業で培われたノウハウを活かすことができる環境教育は、他社に対する競争力にもなっていくと思います。

福原

現在、東アジアで幼児教育を中心にグローバル展開を進めていますが、いずれ環境教育においてもグローバルに取り組みたいですね。

目指す社会に向けたビジョンを持って

秋山

持株会社体制になるということは、一つひとつの事業が独立し、スピーディにグローバル展開ができるという利点があると思います。そのときに重要なのは、「Benesse=よく生きる」という軸を横串で通して、グループ全体の求心力を高めること。国を越えても、「Benesse=よく生きる」に込められた本当の思いを共有できるかが、今後の課題になると思います。

福原

そのとおりです。私どもは持株会社体制にあたって“グローバル”“グループ”“グロース”“ガバナンス“の追求を掲げています。グループにまで視点を広げる際、理念による求心力が重要になります。グローバル展開にあたっては、ベネッセらしさや理念をどのように伝えていくかが大切だと考えています。

秋山

最後に、これからの期待としては、現在のCSR活動のアウトプットにとどまらない、今後のビジョンを明確に打ち出したレポートを目指していただきたいということです。ビジョンを打ち出したうえで、その実現のためのアクションを記載し、レポートによってPDCAを回していただきたいと思います。

福原

わかりました。2018年に向けた長期ビジョンの達成に向けて持株会社への移行が決定されました。当然、そこには目指すべき世界観があり、その実現のためにベネッセとして努力する項目を盛り込んでいます。長期ビジョンの実現に向けては、未来の社会への洞察力を持って取り組み、次年度のレポートで報告ができるよう努めます。